Home > X-Note | Zeiva Inc > X-Noteを考える ―システム、ミニゲーム―

X-Noteを考える ―システム、ミニゲーム―

この記事はX-Noteを考える ―シナリオ―の後半部分です。

◎本作のシステム

○時代遅れのシステム

何か一作、ここ数年内に世に出たビジュアルノベルかアドベンチャーゲームを一作想像してみてください。そのゲームにはどんなシステムが備わっていたでしょうか。

恐らく、皆さんが思い浮かべたシステムの大半は「X-note」にはありません。バックログもオートモードも音量調整もありません。設定できるのは音楽・効果音のオン・オフの切り替えくらいです。文章をスキップする機能はありますが、既読文章のみをスキップすることはできないので、読んだことのない部分をうっかり読み飛ばしてしまうこともあります。

本作のシステムは日本のアドベンチャーゲーム・ノベルゲームでいえば1990年代の水準です。英語圏のそれと比較しても、Ren’Pyの機能が充実する5年前の以前の水準にも満たないものであると言わざるを得ません。

○既読スキップとバックログが無いことによる問題

X-note 説明画面

既に述べたように、本作にはバックログがありません。その代わりにキーボードの上矢印キーを押すことで文章を巻き戻すことができますが、巻き戻せる範囲には制限があります(*)。

(*)イベントCGの挿入やBGMの変化があった箇所以前には巻き戻せません。

前作の「Other Age Second Encounter(以下OASE)」では、既読スキップとバックログが無いことが大きな支障となることはありませんでした。「OASE」には攻略可能な登場人物が全部で10人いて、それぞれに物語があるのですが、物語一本当たりの文章量が少ないので、仮に物語を忘れてしまったとしても10分程度で最初から最後まで進められるので、すぐに再確認することができました。

x-note オウルとの会話

一方、本作の文章量は前作を大きく上回っています。ゲーム一周に必要な時間は3-4時間ほどです。プレイの最中に過去の文章を確かめたくなることがあっても、バックログが無いので、読み返すには目的地付近のセーブデータをロードしてそこまで戻らなくてはなりません。セーブデータがあればいいものの、無ければ初めからやり直すか諦めるしかありません。

雫やYU-NOはバックログや既読スキップが無くとも名作ですが、それは当時は無いのが当然であったからです。しかし、これは2011年に発売されたゲームです。新しいものは新しい物差しで計らなくてはなりません。「英語圏のゲームに日本のレベルを求めてはいけない」という意見に対しては、近年出た英語圏のゲームの大半以上には、少なくとも本作よりもずっと優れたシステムがあると反論しなくてはなりません。

(*)2017年12月31日取り消し。雫にはバックログと既読スキップがあったことを思い出しました。

「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」という10年以上前に発売された有名なアドベンチャーゲームがあります。このゲームにはバックログや既読スキップがありませんが、そのことで文句を言う人はいないと思います。そういった機能は当時まだ一般的では無かったからです。しかし、「X-note」は2011年に発売されたゲームです。新しい物は新しい物差しで計らなくてはなりません。「英語圏のゲームに日本のレベルを求めてはいけない」という意見に対しては、近年出た英語圏のゲームの大半以上には、少なくとも本作よりもずっと優れたシステムがあると反論しなくてはなりません。

何故「X-Note」のシステムには不備が多いのでしょうか。私は「X-Note」がFlashゲームであることに関係しているのではないかと思います。きっとFlashゲームに既読スキップやバックログを実装するのは困難だったのでしょう。

○ミニゲーム

x-note ミニゲーム

主人公であるEssiは毎日、人気の無い公園で超能力の訓練に励みます。その際、プレイヤーは念動Psychokinesis、透視Clairvoyance、精神感応Telepathyの中から訓練する能力を選択することになります。能力を選ぶとミニゲームが始まります。ミニゲームの内容は選んだ能力によって異なるのですが…どのミニゲームもちっとも面白くないのです。

念動は単にタイミングよくボタンを押すだけです。透視は5秒間表示される数枚のカードの絵柄を記憶し、それを当てるだけです。精神感化はスロットのように変化し続けるカードの絵柄を目押しで止めて揃えるだけ…

ミニゲームをクリアすると、選んだ能力のレベルが上昇します。クリアできなかった場合は、諦めて能力を鍛えずにシナリオを進めるか、再び挑戦するかを選択できます。

念力成功時

各攻略対象の一番幸福な結末(エンディング)には、ミニゲームを毎回成功させなければ到達できません。ミニゲームに挑戦する機会は全部で30回あるので、ゲーム一周につき30回もミニゲームをプレイしなくてはならないことになります。最初の5~6回目までは良いとしても、それ以降は作業になります。

面白いのは、ミニゲームに出てくるカードの絵柄が「ゼナーカード」になっていることくらいです。

○BGMと効果音

全13曲のBGMは、いずれも音楽素材販売サイト「Neosound.com」で購入できるものなので、個人制作ゲームを沢山遊んでいる私にはどこかで聴いたことのある曲ばかりでした。開発者自身も、可能であるならば専用の楽曲を誰かに作曲してもらいたいと願っているのでしょうが(*)、予算の限界からは逃れられないのでしょう。

(*)Zeiva Incが2016年7月2日に発売した「Animal Complex -Cat’s Path-」では、Zeivaゲームでは初めて、作曲者に依頼して作曲させた専用の楽曲を使用しています。

効果音は明らかに種類が足りていません。ツッコミを入れる音も、強打される音も、失神して倒れこむ音も、全部同じ音で表現しているので、シリアスなシーンも陳腐に思えてしまいました。

○Zeivaゲーとして

x-note セーブ画面「決して悪くはないが、特別良いわけでもない」というのが総合的な評価です。英語圏のADV・VNに関心がある人ならともかく、日本のビジュアルノベル・アドベンチャーゲームの愛好者が本作に20ドルを払って十数時間を費やす価値はありません。

ただ厳しく評価したシステムも、Zeivaが「X-Note」の前に発売した「OASE」に比べれば、大きく進歩しているのは確かです。「OASE」から一年も空けずに発売したゲームであることを考えると尚更です。なにせ、OASEにはセーブシステムすらなかったのです。システムを改良するために制作者はかなり苦労したのではないかと思います。

前作より良くなっているからといって本作の市場的な価値が上がることはありません。そんな事情は新規の購入者には関係無いからです。ただZeiva Incが新興のゲーム開発組織であることを考慮すると、そういった事情を完全に無視してしまうのも酷なように思います。

確かに名作だとは言えません。しかし、制作者の成長と努力が感じられて、今後の作品に期待したくなるゲームでした。

コメント:0

コメントフォーム
Remember personal info

Home > X-Note | Zeiva Inc > X-Noteを考える ―システム、ミニゲーム―

検索
フィード
メタ情報

Return to page top