X-Noteを考える ―システム、ミニゲーム―

これはX-Noteを考える ―シナリオ―の続きです。

◎本作のシステム

○時代遅れのシステム

何かひとつ、ここ数年内に世に出たVNかADVを一作想像して、どんなシステムが備わっていたか思い出してみてください。

恐らく、皆さんが思い浮かべたシステムの1/3は、X-noteには存在しません。バックログも、オートモードもなく、設定画面で設定できることも音声のオン・オフ切り替えくらいです。スキップ機能はあるものの、既読スキップはありません。

システムだけに限ってみれば、本作は、日本のゲームでいえば15年前、英語圏のゲームでいっても、Ren’Pyの機能が充実する5年前の以前の水準にも満たないものであると言わざるを得ません。

○既読スキップとバックログが無いことによる問題

X-note 説明画面

前作(OASE)では、既読スキップとバックログが無いことが、プレイの大きな支障となることはありませんでした。1ルートあたりの文章量が非常に少なく、しかも、大半は特に本筋に関係のない深い意味の無いジョークなので、何度も読み返す必要はなく、仮に台詞を一つ、二つ飛ばしてしまったとしても、急いでプレイすれば1ルートあたり10分程度で最後まで進められるので、すぐに読み飛ばしてしまった場所までやり直すことができました。

x-note オウルとの会話

一方、本作の文章量は前作を大きく上回っていて、1ルートのクリアにかかる時間も数倍の3-4時間です。

プレイの最中、何かを思い出したり、考え直したりするために、一度や二度は過去の文章を確かめたくなることがあっても、バックログが無いので、読み返すには目的地付近のセーブデータをロードして、そこまで戻らなくてはなりません。セーブデータがあればいいものの、無ければ、初めからやり直すか、諦めてるしかありません。

バックログや既読スキップが無くとも、雫やYU-NOは名作だったが、それは当時は無いのが当然であったからです。しかし、これは2011年に発売されたゲームです。新しいものは新しい物差しで計らなくてはなりません。「英語圏のゲームに日本のレベルを求めてはいけない」という意見に対しては、近年出た英語圏のゲームの大半以上には、少なくとも本作よりもずっと優れたシステムがあると反論しなくてはなりません。

○ミニゲーム

x-note ミニゲーム

主人公は毎日、人気の無い公園で超能力のトレーニングに励みます。その際、プレイヤーは念動(Psychokinesis)、透視(Clairvoyance)、精神感応(Telepathy)の中から訓練する能力を選択しなくてはなりません。能力を選ぶとミニゲームが始まります。ミニゲームの内容は選んだ能力によって異なるのですが・・・どのミニゲームも嫌になるくらいつまらないのです。

念動は、ただ単にタイミングよくボタンを押すだけです。透視は、5秒間表示される数枚のカードの絵柄を記憶し、それを当てるだけです。精神感化は、スロットのように変化し続けるカードの絵柄を目押しで止めて揃えるだけ・・・3種類ともマインスイーパーやオセロよりも単純なゲームです。

ミニゲームをクリアすると、選んだ能力のレベルが上昇します。クリアできなかった場合は、諦めてシナリオを進めるか、再び挑戦するかを選択できます。

念力成功時

各キャラクターの一番良いエンディングには、全てのミニゲームを成功させなければ到達できません。それを目指す場合、1ルートにつき30回もミニゲームをプレイする羽目になります。最初の5~6回目までは良いとしても、それ以降は作業になります。

面白いのは、ミニゲームの際に出てくるカードの絵柄が「ゼナーカード」になっていることくらいです。

○BGMと効果音

全13曲のBGMは、いずれも音楽素材販売サイト「Neosound.com」のものなので、個人制作ゲームを沢山遊んでいる私には聞き覚えのある曲ばかりでした。開発者自信も、可能であるならば専用の楽曲を誰かに作曲してもらいたいと願っているのでしょうが、お金の限界からは逃れられないのでしょう。

追記:Zeiva Incが2016年7月2日に発売した「Animal Complex -Cat’s Path-では、Zeivaゲームでは初めて、専用楽曲を使用しています。

効果音は明らかに種類が足りていません。人にツッコミを入れる音も、誰かがひどく殴りつけられる音も、人物が失神して倒れこむ音も、全て同じ音で表現しているので違和感があります。その音が鳴ると、どんなシリアスなシーンも陳腐になってしまいました。

○Zeivaゲーとして

x-note セーブ画面
シナリオには若干の粗があり、システムについては言うまでもありせん。そう悪くはないが、特別良いわけでもないという困ったゲームです。VN/ADVの愛好者が、本作に20ドルと十数時間を費やす価値はありません。

しかし一方で、Zeiva Incファンの視点から評価すると、前作に比べれば大きな進歩を遂げていることは注目に値します。シナリオとシステムの質は、OASEから一年も空けずに発売したにも関わらず、飛躍的に向上しました。なにせ、OASEにはセーブシステムすらなかったのです。

もちろん、前作より良くなっているからといって、本作の絶対的な価値が上がることはありません。そんな事情は、従来のユーザー以外には関係ありません。

しかし、評価するしないは別として、そういった事情をまったく無視してしまうのも、また正しくないことではないように思います。Zeiva Incはまだ新興のゲーム開発組織です。こういった組織の行く末を長い目で見守るのも、ゲームユーザー、特に英語圏のADVに注目する人間の役割なのではないでしょうか。
これについては、またいつか。

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