Nexus:The Jupiter Incidentレビュー

小さい頃に見た宇宙戦艦ヤマトが原因なのだろう。
宇宙を舞台にした船を動かせるゲームというだけで特別な思い入れを抱いてしまう。
ということで今回は数年前に発売された宇宙を舞台にしたゲームのことを書こう。

Nexus logo

・概要

Nexus: The Jupiter IncidentはハンガリーのMithis Entertainmentによって開発されたリアルタイムタクティクスゲームだ。
美しい映像とストーリーに力が入れられており、まるでスペースオペラの世界に入り込んだかのような体験ができる作品である。

ゲームはユニットに指令を与えて、任務を達成していくことで進める。
ユニット(宇宙船)には速度の調整、兵器一つ一つの目標決定、装備の変更などかなり細かい指示が可能だ。
これを管理するのはかなり大変である。

代わりに同時に登場するユニットの数は同じタイプのゲームに比べてずっと少ない。
殆どの任務では一度に10以下のユニットしか登場せず、一つの船しか操作できない任務もある。

そして装備の変更を除けば内政要素は存在しない。
プレイヤーはただひたすら戦いに集中し、目の前の困難に立ち向かっていくのだ。
これがストラテジー(戦略)ではなくタクティクスとなっている所以である。

「せっかくの宇宙なのにそんな小さい規模、地味なんじゃないかな?」
いや待ってくれ!そんなことはないぞ。
その分、船一隻一隻の動きが尋常じゃないほど細かいのだ!

・徹底された動き

Nexus battleship

例えば艦載機の発進命令を出したとしよう。

船のエアロックがゆっくり開き始める。途端、瞬く誘導ランプ。
無線が流れたかと思うと次々に飛び立つ艦載機。

船が戦闘不能になった時。

動かなくなった船から救命艇が蜘蛛の子を散らしたかのように飛び出す。
どうやら味方の船に救助されに行くようだ。
しかし、敵のレーザーが救命艇を容赦なく襲う。

船に停止命令を出した時。

その船は艦首スラスターからの逆噴射で減速を始めた。
おっと今度は後ろに下がってしまったようだ。すると船は後部スラスターを使って調整を始めた。
何度か失敗した末にうまく静止できたようだ。

これらは特別なストーリーイベントではない。
ゲームを遊んでいる際、並行して発生する普通の出来事である。
これにより、大規模な戦いが繰り広げられる作品に負けないほど宇宙らしい戦いが発生するのだ。

動きだけでなく、一隻一隻の役割も大きい。
うまく役割を理解し、適切な装備を与え、配置をよく考えなくては困難を乗り越えていくことはできない。

・ストーリー

Nexus Campaign

22世紀、人類は空の楔を打ち破り、宇宙にまで生活の場を広げていた。
しかし地球政府が衰えて以来、太陽系では巨大企業の操る植民地同士の争いが繰り広げられていた。

ワームホール開拓計画「ノア計画」によって父を亡くしたマーカスは対抗企業の諜報任務を命じられ、木星の基地へと侵入する。
そこで見つけたのは光り輝く異形の船であった。

人々は知らない。
この「木星事件」が宇宙の始祖に関わる出来事へと繋がっていくことを。

ストーリーは壮大だ。
全体的にありふれた内容だが、ゲームのシステムとはよく合っており、細かい設定まで作りこまれている。
SF好きを引き寄せるような要素がこれでもかというほど盛り込まれており、最後まで目を離すことはできない。

また、ワームホール通過以外の超光速航法が存在しなかったり、
地球から木星まで数ヶ月かかることがしつこく説明されたり、
無人機が存在しない理由付けがあったりと、
設定の現実っぽさがしっかりしており、一部の人間にとってたまらないものになっている。

各登場人物の会話はフルボイス。アメリカ感がバリバリでまるでSFドラマのようだ。(ハンガリー産なのに!)
ただ作中において間違った日本イメージが何度か登場するのだが、これが何故かストーリーの鍵になっている。
これには笑えるか、それとも不快に思ってしまうかもしれない。

と、褒めてばかりだったが、良いところばかりではない。
それどころかこのゲームはかなりの問題を抱えている。

第一に、ユニットの一つ一つを大事に操作しなければならないにも関わらず、インターフェイスがゴチャゴチャし過ぎている。
デザインは美しいのだが、物体同士の距離どころか目標がどこにいるのかも認識しづらく、思ったとおりの命令を出しづらい。
ポーズボタンを酷使することになるだろう。

第二に、難易度が高い・・・というか理不尽だ。
初見ではまずクリアできないであろう無茶な条件を要求する任務も多い。
加えて、チュートリアルもかなりあっさりしており、基本を学ぶのは大変である。

Nexus strategy map

欠点はあるが、それに目を潰れるくらいの魅力もある。
生き生きと動く船の動きは、現在の基準で見ても高いレベルであるし、何より、ここまで宇宙戦闘をリアルっぽく再現したゲームはそう無い。

Nexusは今だ比類のない存在である。
この手のゲームが好きであるなら、見逃してはならない一作だ。


○外部リンク
公式サイトは死んだっ!なので代わりに・・・
Steamの販売ページ

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