ユニバーサル・クルセイド Genesis Rising感想

どんな夢を描いても、なかなかその通りにはいかない。
一つのゲームが評価されている間に数え切れないほどのゲームが埋もれていく。
その原因は単に出来の良し悪しであったり、知名度であったり、運であったり。

作品が成功するかしないかは誰にも分からない。それはどうしようもないのかもしれない。
ただ、成功できなかったモノに光る欠片・・・カッコつけずに言えば将来性を見出せたとき、私はなんとも堪えがたくなる。

Genesis Rising Crusiform

今回紹介するゲームは宇宙リアルタイムストラテジーのGenesis Rising。
セルビアのデベロッパーによって製作された、宗教+宇宙+ナマモノという危険物が詰まったゲームです。

○ストーリー

宇宙進出の黎明期、人類は異星人の侵略によって苦境に立たされていた。
そんな混乱と絶望の時代は一人の救世主を産み落とす。
彼に導かれた人々は再び戦意を取り戻し、一丸となって反撃を開始したのだった。

Genesis Rising OP

戦いの最中、英雄は敵に捕らえられて処刑される。
しかし、それは人々の戦意をさらに高めることに繋がった。
彼の偉業とその悲劇のごとく死は次第に神格化され、ついには新たな教会が創立されたのだった。

そして今・・・
信仰による意思の統一、そして生体兵器”オーガノイド”の力によって、人類は銀河に連なる大帝国を築き上げていた。

しかし、人類に歯向かう者はいまだ存在する。
教会は覇権を完全かつ恒久なものとするために、宇宙に伝わる聖地の捜索を始めるのだった。

○ゲーム紹介

このゲームの宇宙戦艦「オーガノイド」はいわば生きる機械だ。
血液基地から手に入る血液によって生産され、死骸の血を吸うことによって回復する不気味な存在である。

Genesis Rising Mutation

その外見は実に個性的だが、ある種の気持ち悪さをも放っている。
血を吸った蚊を潰してしまった時のような光景が苦手な人は気を付けなくてはならない。

この生物という特徴はシステムにも結びついている。
様々な遺伝子を付加することによって、ユニットの能力を変化させることができるのだ。

レーザーの遺伝子を付ければレーザーが撃てるようになるし、麻痺の遺伝子を付ければ敵を麻痺させる特殊能力を得る。
言ってしまえば普通のユニット設計と違いはないのだが、生き物という設定によって違った印象が生じるのが面白い。
その代わり、一つのマップで扱えるユニットは10隻未満と控えめだ。

Genesis Rising Gene

ただ、遺伝子の操作は非常にやりづらい。
これにはかなり細かな操作を行う必要があるのだが、この間はなぜかポーズボタンが使えない。
戦闘中の切り替えなどは到底無理なので、余裕のある時に行っておく必要がある。

Genesis Rising map

このゲームの宇宙はほぼ平面だ。
Sword of The StarsやSins of A Solar Empireよりも更に平べったく、ユニットが他のユニットの上を飛び越えることもできない。

これは別にかまわない。
下手に見づらくなるよりは2Dの方が良い。

ただ、このゲームはUIが致命的に悪い。
表示が小さすぎるミニマップ、ショートカットキーの不足、挙動が怪しいカメラ、せわしなくアイコンと対象をクリックしなければ使えないアビリティ。
これにより、一度に登場するユニットの数は少なく平面空間であるにも関わらず、操作は理不尽に忙しいものとなっている。

これまでにも「操作性が悪い」と書いたゲームはあったが、その全てを上回る酷さだった。

○選択

一部のマップには中立の種族が存在する。
彼らとは外交で遺伝子を交換、あるいは脅し取ったりすることができるほか、
マップ中の行動によってその種族との友好度が変化し、それによって敵対関係が変化することがある。

中立種族と仲良くするか、屈服させるか?
うん、こう書くと面白そうだ。

だが、多くの場合は中立種族は大したことない軍備しか持っていない上に
友好度はマップをクリアすればリセットされてしまうので、どう扱おうがあまり影響はない。
実用的なのは遺伝子の売買くらいだ。

Genesis Rising talks

また、進行に応じて、キャラクター同士の会話イベントが度々発生する。
ここでは主人公に好意的な態度を取らせるか、敵対的な態度を取らせるかを選ばなくてはならないのだが・・・
これがゲームの展開に関わることは全編を通して数回しかない。

Genesis Rising lifewave

一般的なRTSとは違い、このゲームは次に進むマップを複数の中から選択できるほか、
既にクリアしたマップに戻ることができる。

しかしどれを選んだとしても攻略する順番が変わるくらいで
結局は全てのマップに挑まなくてはならないことがほとんどである。

以前のマップに戻っても、変化といえば敵の編成や配置が変わっていたりする程度。
特別なにかが起こるわけでもない。

これらのシステムは一見面白そうなものの、実際は雰囲気の演出以外の意味をなしていない。

○ストーリー

シナリオの大部分は新天地で暮らす異星人を征服することに費やされる。
肝心の探索は中盤過ぎまで再開されない。

遠征軍となって異教徒たちを屈服させていくという内容はある意味で新鮮だ。
しかし、当初の目的を忘れさせられたまま任務をだらだらと続けさせられるのは気持ちよいものではなかった。
(カトリックと十字軍を基にしていることを踏まえると正しいのかもしれないが)

探索が再開された後は、タイムスリップや宇宙誕生の謎、
異端尋問官の反乱といった大事件が目白押しでそこそこ面白かっただけに惜しい。

ところで本作のストーリーは東欧で発行されたCrusiformという自費出版の漫画が原案となっているようだ。
そういうこともあってか世界の設定はよく練られている。

Genesis Rising Tyrant's launches missile

砲台などの可動動作こそないものの、グラフィックは今でも見劣りしない美しさだ。
機械でも生物でもないオーガノイドの気持ち悪さ、
後戻りできないところまで来てしまった地球文明の残酷さを見事に映し出している。

○最後に

このゲームには様々な可能性が詰まっている。
だが、それらはいずれも挑戦的なだけで、ゲームの面白さには全くといっていいほど結びついていない。
仮にUIの問題がなかったとしても良いゲームにはならないだろう。

なぜこうなってしまったのか?
憶測だが、製作者たちはもっと壮大な何かを作りたかったんじゃないだろうか。
それが失敗した結果がこれなのではないか。

なにかが違っていたらとんでもないゲームになり得たかもしれない。
プレイしている間、何度もそう思って擦りきれるような気持ちになった。
そんな作品はきっと数え切れないくらいあるんだろう。

はっきり言ってGenesis Risingは面白いゲームではなかった。
けれども所々に見える輝き、大きな理想を目指した跡は、つよく焼きついている。
夢を秘めながらも叶えることができなかったこの作品のことをせめて忘れないでいたい。

○外部リンク
公式サイト・・・は数ヶ月前に消滅しました。
体験版(4Gamer)
原作者(Crusiform)のサイト
○関連記事
Genesis Rising最初の感想

補足:マルチプレイヤーは当然のごとく人がいなかったので試すことすらできなかった。
あと、いくつかバグが残っていたので購入を考えている人は注意。
一応、Direct2DriveやらSteamやらGamersGateやらImpulseやらで取り扱われています。
変人以外にはお勧めできないけど!

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