Shira Oka Second Chances 感想 記憶のかけらで ただまぶしい 

shira oka title

ある日、”Sins of A Solar Empire”というゲームについて調べていて、ある方のブログに辿りついた。
目に留まったSinsではなく、ある変わったゲームの記事だった。
聞くところによると、それは英語圏の人間による英語圏の人間のための恋愛シミュだという。

「訳の分からないゲームだな」
そう思ってブラウザを閉じた。
海外の美少女ゲームへの興味なんて無かった頃だ。

それから31ヵ月後、そのゲーム―Shira Oka Second Chance―がImpulseの陳列棚に並んだ。
奇妙な再会だった。

(あ、この記事には少しネタバレがあります。未プレイの人は注意!)

○ストーリー

shira oka op

一人の男が、寂れたバーで飲み潰れている。
生きがいもなく、目的もなく、死んだように生きる男だった。

彼の最大の後悔は、輝かしい学生時代を過ごせなかったことだった。
なぜ勉学にはげまなかったのか、どうして信頼できる友人を作れなかったのか。
もっと賢く生きていたら、今の自分は・・・

そんな彼の前に降り立った天使 サツコは、男にこう告げる。
「チャンスをあげるわ。よい未来のために。」

男は、全てが15歳の頃へと巻き戻っていることに気がついた。
自分にこんな幸運が?
疑問を感じながらも、彼は二度目の、新たな学校生活を始めるのだった。

○ゲーム紹介

プレイヤーは青春をやり直すことになった男を導いて、
最終的には他のキャラクターと仲良くさせなくてはならない。

shira oka schedule

大まかに言えばときめきメモリアルのような育成ものである。
勉強や運動、デートなどの行動を決めることで主人公のパラメーターを変動させていく。
パラメーターは各キャラクターとの友好度に影響する。

もちろん、ガンバりすぎてはいけない。
精神的な行動を行うと精神力が、肉体系の行動を行うと体力が下がり、下がりすぎればペナルティを負ってしまう。
両方をバランスよくこなすことがカギ・・・とまあ、やっぱりときメモである。

shira oka talk

ゲームの過程では様々なイベントが発生する。
文化祭やバレンタインと言った特定の日に必ず発生する固定イベント。
そしてランダムイベント。

ランダムイベントの数は膨大だ。
しかもその多くは条件次第で展開が変わったり、別なイベントに繋がったりする。
何度遊んでも新しいイベントが発掘できるのは驚きだ。

攻略可能なキャラクターは10人。
3年目の秋に友好度が高いキャラクターが存在すれば、彼・彼女のルートに突入する。

逆に、いつまでも親しいキャラクターがいなかったり、定期的に行われるテストの結果が悪かったり、取り返しのつかない失敗をしてしまうと・・・
天使の力によって時間が初日までまき戻ってしまう!

まき戻りが発生すると主人公のパラメーターや他キャラクターとの友好度はリセットされる。
しかし、主人公の素質や記憶は保持されるため、以降は一度見たイベントの内容が変化したり新しい行動が追加されたりする。
電話番号を教えてもらう前に電話したり、失敗した出来事を成功させたり、危険を予知したり・・・

この現象はイベントのフラグだけではなく、成長システムにも関わっている。
なにか特別なことを成功させる度に、主人公の素質を強化できるポイントを獲得できるからだ。
特別なこと:デートをやり遂げたり、良い成績を取ったり、「まき戻りを活用して問題を解決したり!」

はっきり言って、初期の主人公の能力はクソである。
ゲームの始めに、主人公の素質をエディットできるのだが、ここでどうポイントを割り振っても役立つキャラクターは作れない。
(素質は主にパラメーターの成長率に影響する)
結果、まき戻りが頻繁に発生することになる。

shira oka character maiking

しかし、繰り返される時間の中から何かを学び、改善し、ポイントを集めていけば
主人公の能力は徐々に改善されていく。やがては成功さえも掴めるだろう。
Shira Okaはそういうゲームなのだ。

タイムトラベルをシナリオに取り込んでいる作品はそう珍しくないが、
成長システムとリンクさせたゲームはあまりない・・・んじゃないかと思う。(自信がない)
これによって、Shira Okaはときメモのクローンに留まらない個性を発揮できている。

(ちなみに各エンディングを見た後は初日にまき戻るので、一からプレイする必要はない。)

BGMはオリジナル。
全4曲の挿入歌は良い。

○問題

メッセージスキップが無いっっ!
まき戻りという特性上、何度も同じ場面を見ることになるにも関わらずだ。
キーボードやマウスを連打しても一週には数時間かかる。

しかも、真のエンディングを拝むには全ルートをクリアする必要がある。そう、最低9週だ!
・・・豊富なランダムイベントのおかげで最初のうちは楽しめるが、
6、7、8週目ともなると、それが逆に仇となってくる。

そしてシナリオが・・・なんとも言いがたい。
幽霊だとか、ロボットだとかいう要素が登場することはいい。(そもそも始まりが天使だ)
ただ、それらの絡み方や話の流れはあまりにも唐突だ。

shira oka the intermission

各ルートに突入する前には、インターミッションイベントというものが発生する。
ここでは落ち着いた挿入歌が流れ、アニメーションと共に各キャラクターの心情が語られる。
素晴らしい、これを見て興奮しないプレイヤーはいないだろう。

しかし、実際の盛り上がりはこのイベントがピークであり、残りは下り坂だ。

インターミッション後、ほとんどのシナリオでは場当たり的な展開が続き、問題が放置されたままエンディングとなってしまう。
9本のルートのうち、比較的マシなのは2-3本だけだ。

そしてまき戻り。
これは見事に設定を生かしていたが、大きなハードルをも作り出している。

この性質のおかげで、序盤はパラメーターが伸びず、何もうまくいかない。
皆には嫌われるし、サツコは文句を言ってくる。
挙句の果てに一日目に戻される。

失敗とまき戻りが基本だと気づければ、こういうゲームだと納得することもできるだろう。
だが、そういったことは作中でほぼ説明されないため、何をすればいいのか分からなくなる人も多そうだ。

一応、ポイントが多く貰えるイージーモードがあるのだが、
これは巻き戻りが数回発生した後でないとアンロックされないのであまり救済措置にはなっていない。

shira oka a random event

また、根本的なシステムにも理解しがたいところがある。
「イベントが発生した日は行動が実行されない(パラメーターが変化しない)」という仕様、
そして、「パラメーターが低いと他のキャラクターが警告してくれるイベントが発生する」という仕様だ。
これが何を引き起こすのかというと・・・

1.いったんパラメーターが低くなる
2.警告イベントの発生確率が上がる
3.それによってパラメーターの増加が阻害される
4.2へ

恐ろしいトラップである。
この現象はパラメーターが伸びづらい序盤に起こりやすく、初心者キラーとして活躍してくれる。
(加えて、ランダムイベントの発生もパラメーターの成長を妨害する。楽しいはずのイベントが障害となってくれる。)

○JAPAN THAT MADE IN USA.
舞台は日本、キャラクターもアリスを除けば日本人という設定。
これを耳にして複雑な気持ちになる人は多いだろう。

個人的には・・・Shira Okaの日本は悪くない。
極端な解釈が多いものの、行事は伝統的なものからバレンタインまで揃えられている。
なにより通貨は円だ。(どうでもいい)

shira oka dictionary

感動したのはギャラリーで閲覧できる文化辞典。
ここでは俳句やお盆といった伝統的なことから、同人誌、特撮、カラオケなどのサブカルから
おにぎり、餅などの食まで、幅広い分野が解説されている。

日本の文化をなんとか理解し、それを広めようという努力と意思が感じられる。

ただ、校内でアイスクリームが買えたり、建築物がそれらしくなかったり・・・
(いや、俺が知らないだけでこういう高校もあるのか!?)
所々になりきれていない要素も見える。
これらが入り混じった結果、白岡の町は日本でもアメリカでもない異空間のようになっている。

○最後に

Shira Okaの開発が始まったのは約5年前。
その頃は英語でプレイできる美少女ゲームも少なく、日本語が読めない愛好家は、僅かな翻訳版やファンメイドのパッチに頼るほかなかったらしい。
彼ら・彼女らが、それに恋焦がれ、自分たちで作ってみようと思い立ったのは、必然だったのかもしれない。

私は何も生み出せない人間だが、その気持ちだけは分かりたいと思う。

時は流れ・・・
Shira Okaのリリース時には”英語圏の人間による英語圏の人間のための恋愛シミュ”も特別なものではなくなっていた。
それらの作品と比べると、Shira Okaの出来は・・・特に飛びぬけているわけではない。

じゃあ、Shira Okaに価値はないのか?
私はそう思わない。

ゲームを遊んでいた2ヶ月間は、毎日このことを考えていた。
頭の中で攻略計画を書き上げ、一心不乱でクリアを目指した。

なぜそこまで夢中になったのか?
よくは分からない。よく分からないが・・・それは間違っていなかった。
真のエンディングには、苦労以上の価値があった。

shira oka obon

Shira Okaは・・・なんというか、自分のような人間―学生時代に良い記憶がない―に向けられたゲームだった。
学生時代への後悔をいだく主人公が成長していく様子に、Second Chanceは未来にしかないと語って去っていった彼女に、慰められていたのかもしれない。

最後のエンディングにあるのは、そこまで来たプレイヤーを突き放すような意思だ。
だけども私にはそれが丁度良かった。
ヘタに良い言葉をかけられるよりは、その方がずっと励みになる。

“What happened…?”
なにがあったの?
“We were just… playing a game”
いや、ただ・・・ゲームをしていただけさ

終盤に語られるこの台詞が全てを示していた。

彼らは日本を舞台にし、日本語の歌詞を使い、日本の文化をふんだんに盛り込むという挑戦をあえてした。
そこからは、日本人であるはずの私よりも大きな日本への敬意が感じられた。
奇妙な話だ。

時代遅れなどではなく、この時だからこそ生まれた作品なのだと思う。
もちろん、私個人にとっても愛すべきゲームであった。


○外部リンク
Okashi Studio
○関連記事
Other Age Second Encounter 感想
Shira Oka Second Chance 中間の感想


○おまけ

ここではゲーム内の辞書から項目をいくつか引用して掲載するぞ。
興味を持った人はぜひ本編で確かめてみてくれ!

Matsuo Basho
松尾は江戸時代に生きた著名な詩人であり、
多くの文学者によって最高の俳諧師とされている。
その創作物は無数の言語へと翻訳されており、国の境を超えて有名である。

ちゃんと書かれている。

Okashi
日本における軽食、焼き菓子、甘味、スナックなどの総称。
味好み、エダマメ、ポッキー、White Rabbit(白兎飴?)、
ふわりんか、Guchu Ball、肉まん、じゃがりこ、大福、団子、エビせんべいなど。

渋いお菓子と新しいお菓子が混じってて面白い。
Guchu Ballだけ検索しても何か分からなかった。

Doujinshi
自費出版。
大半はファンによって作られたゲーム、漫画等の二次創作だが、オリジナルの創作物も存在する。
たとえば、Doujinshiのビジュアルノベルから始まったサークルType-Moonの月姫シリーズが有名である。

な、なんか微妙に間違ってるような・・・
それはともかく、Type-Moonの知名度はすごいですね。
ちなみに”あかほりさとる”が単独の項目としてあったりします。

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