10 min Space Strategy 感想 -10分の宇宙大戦略-

○前置き
10Min Space Strategyは、ややこしそうな印象がある宇宙ストラテジーを分かりやすくし、
ストラテジーが苦手な人や長時間遊ぶ余裕がない人でも遊びやすいようにしたフリーウェアです。
これは、新規を拒絶してしまいがちな雰囲気の宇宙ストラテジーの世界を広げようとした偉大な試みに違いありません。

それに反して、この感想文はいつもどおりの内容になってしまいました。
このことを先に謝らせてください。
近日中に日本語の紹介というか、説明書のようなものを作って公開する予定なので、それで勘弁してください。
(追記:結局作らなかった。すまん)

つーことで本文!


10mss title

宇宙ストラテジーゲームの面白さとはなにか。
それを考えたことはあまりなかった。

プレイヤーの間で求められる代表的な要素といえば、
ユニットの設計、sci-fi的なランダムイベント、様々な天体、迫力ある戦闘などだ。
けれども、その中でもっとも大事なものはなんだろうか?

もし宇宙が舞台であるということ以外で、取っ払ってはいけないものがあるとしたら?

今回のゲームは、ハンガリーの開発者によって作られ、
風来坊のごとく現れた奇作、10Min Space Stragety(仮題)
その名前が示すとおり、徹底的なまでに簡略化された、10分で遊べてしまうようなターン制宇宙ストラテジーである。

問いへの道は、この中にあるかもしれない。
○そんなものない!

マップはHEX制。
視界が届く範囲内であれば、ユニットは移動力が許すかぎり自由に移動できる。
多くの宇宙ストラテジーにあるような戦略移動に関する決まりは無い。
せいぜい、自軍の勢力圏内にいるユニットの移動力が上がるくらいだ。

登場するユニットは戦闘をこなすFighter、惑星を爆撃するBomber、惑星を植民したり、宇宙基地を作ったりできるColonizerの3種類のみ。
ユニットの設計などは無い。

10mss map

戦闘は自動。どちらかが全滅するまで続けられる。
状況に応じて補正がかかるものの、基本的に数が多いほうが勝つ。

ユニット同士の強弱?当然、無い。
BomberとColonizerには戦闘力が全くないので、100隻揃えても1隻のFighterに負ける。
基本はFighterのぶつかりあいだ。

研究は6つから一つを選ぶだけ。
それぞれの研究が進むごとに、ユニットが強化されたり、人口が増えやすくなったり。

惑星の種類は9種類。(大中小の大きさ×砂漠、水生、溶岩)
あとは宇宙に散らばる「未知の物体」にユニットを送り込むことで、様々な利益が得られるくらい。

内政は惑星に施設を建てることだけで済み、その施設の数はたった6種類。
政治形態がどうこういうものもなければ、税収を管理したりする必要も無い。

そもそも、「資源」という概念がは無い。
なにを作るにしても、必要なのはターンだけだ。(例外的に人口を消費するものあるが)

外交なんて概念もこの宇宙に存在しない。
ゲームが始まったら最後、そこは地獄の乱闘場である。

10mss race

種族の設定は「ある」。全6種。
それぞれに固有の施設が一つあり、得意な環境があり、様々な特性や特殊能力がある。
これらを組みかえて好みの種族にすることも可能だ。
徹底的に簡略化されているほかの要素に比べると、ここはなぜか複雑だ。

○見えてくるもの

ひたすら無い、無い、と書いてきたが、ゲームを貶しているのではない。
逆だ。「ある」であろう要素がこれだけ無いというのに、ストラテジーとしての味、
いや、「宇宙ストラテジーっぽさ」がちゃんと残っていることに驚かされたのだ。

この事実は私にある疑問を喚起してくれた。
“Space Strategy”とはなにか、人に何を求めているのか。

多分、その定義は存在しない。
(ファンタジーロールプレイングの共通像がないように)
もしあるとすれば、それは各人の中に、それも曖昧にしかないだろう。

10mss battle

すくなくとも、私の認識はそうだったようだ。
なんせ、今までさんざん宇宙ストラテジーがどうこう言っておきながら、
骨組み寸前まで切り詰められたであろう本作を見ても、なにが「宇宙ストラテジーっぽい」のかを答えられないのだから!

頭を絞って考えてみた。
種族の多様さが宇宙っぽさを醸しだしているのだろうか、静かな環境音楽が無常さを伝えているのだろうか、
いやいや、たんに背景が宇宙でユニットが宇宙船だからにすぎないのだろうか・・・など。

とうとう結論は出せなかったが、
自分の中の「宇宙ストラテジー像」に少し輪郭を与えられたように思う。

○最後に

複雑な要素は全て切り捨てられているものの、「宇宙」を感じられる部分はしっかりと残っており、
どんな割合でユニットを作るのか、いつ攻撃するのかといった、ストラテジーとしてのゲーム性も残っている。

ただ、必要なものまで取り除いてしまった感もある。
外交がないおかげでAIが大暴れして勝手に弱体化してしまうし、(チームや難易度の設定まで無い!)
決戦兵器となるものもないので、状況が膠着するとゲームが終わらなくなってしまう。
無尽蔵に供給されるFighterをぶつけ合い、牛歩のごとく戦線を進めていくことは難儀である。

だが、この系統の極限を見つめようとした挑戦作であることは間違いない。
色々なことを考えるついでに、面白いかどうかを抜きにしても試してみてほしい。


○外部リンク
Goblin Lunatics(公式サイト)
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