The Flower Shopの感想 スティーブ 田舎で働く

もし皆さんが特定の嗜好を持ったゲーム好きなら、Winter Wolvesというデベロッパーについて耳にしたことがあるかもしれません。
三ヶ月に一度は新作をリリースするその驚くべき開発速度、
そしてサッカーシミュや宇宙タクティクスゲームを開発していたが、唐突にアドベンチャーやノベルを発表し始めたという謎の経歴。

なんだ、なんなのか。
謎が魅力と謎を呼ぶ、不思議なメーカーである。

the flower shop title

ということで今回のゲームはそのWinter WolvesのThe Flower Shop。
夏休みを田舎で暮らすことになった男の、愛と青春の物語である。

プレイヤーは主人公を操作して、農業のついでに女の子と仲良く・・・
いや、女の子と仲良くするついでに農業をこなしていくことになる。

・・・カルフォニアの田舎ってどんなものなのだろう。

○ストーリー
ロスアンゼルスの大学生 スティーブは気さくで素直な青年であったが、
軟派で、飽きっぽく、不真面目なところが欠点であり、学校の成績はしばしばひどいものであった。
当然、将来の見通しなどまったく立ってはいない。

あるとき彼は彼女に愛想を尽かされた上に、
その成長を願う彼の父親によって、カリフォルニアの田舎で農業を営む叔父の元に送りこまれることになってしまう。

the flower shop steve

不便な田舎暮らし、そして叔父との暮らしに不満を漏らすスティーブ、
しかし、その街には彼の目を引く女性たちがいて・・・

○ゲーム紹介
所謂ときメモタイプ(いや、同級生系に近い?)
毎週の初めに、その週の各日の行動を設定し、それによってパラメータを変動させたり、イベントを発生させたりし、
各キャラクター(合計4人)との友好度を高めていく。

the flower shop the planning

選択できる行動は6種類。
そのうち4種類は各キャラクターと結びついているため、攻略で迷うことはあまりないだろう。
強いていえば、特定のキャラクターの攻略に必要なパラメーターが、
他のキャラクターとの行動でしか増加しないという落とし穴があるくらいか。

各ターンの開始時には、農業のミニゲームが実施される。
ここでは畑に種を撒いたり、それに水をやったりすることなどができる。

植物はターンの経過によって成長し、これは売却してドルにすることができる。
ドルは新たな種の購入に使用できるほか、エンディングにもわずかに関係する。

一定ターンの経過後、強制的にエンディングイベントが発生する。
この時、いずれかのキャラクターとの関係が良好であれば、それは良いものとなる。
エンディングはバッドエンドを含めてだいたい全5種類。
同じエンディングでも、それまでの行動によって僅かにテキストが変化する。

○感想
基本の行動システムにあまり見所はない。
パラメーターの数は4つと少ないし、イベントの数もそう多くはない。

また、ゲーム終了までの期間(ターン数)がかなり短いので
計画性がうんぬん以前に、無駄な行動を取るとあっさりバッドエンドになってしまう。
よって、攻略の際に行う行動はほぼ固定化される。
育成というよりはフラグ立てのような感覚なので、そのあたりに期待すると肩透かしを食らわされてしまう。

the flower shop farming

ゲームのテーマの一つでもある農業のミニゲームは・・・なんというか。
いわゆるソーシャルゲームにある育成・農園ゲームをさらに単純化したような内容である。
しかもそれを一人で遊ぶのだから、あまり面白いものではない。

そもそも、がんばってドルを稼いだとしても、ゲームやエンディングへの影響は微小である。
報いがないのだ。
これは無理やり解釈すれば、農作業の辛さを伝える演出と捉えることもできる。
しかし、個人的には歓迎できなかった。

シナリオは都会の青年が田舎の空気や風変わりな叔父と触れ、反発しつつも成長していくというもの。
目立った事件、刺激は一切ないが、その描写は丁寧で落ちついている。

なにもかもを面倒くさがっていた主人公。
時が経つにつれて、彼もまた周囲に目を向けるようになっていく。
その様は若々しくも力強い。

the flower shop susana

また、その生活感は日本とは違う、まさしく小説やドラマで見たアメリカであり、
最も個人的に楽しいところだった。
(ドライブインシアターでのデート、家の様式、すこし大雑把な食事、洋書が洋書でなく登場する図書館)

ただ、こう言うと本末転倒なのだが、恋愛要素が余計に思えてしまった。
その朴訥な設定と描写に対して、典型的とまではいかないが、
彼女らは普通のゲームの登場人物のようで浮いてみえてしまったのだ。

○終わりに
悪くはない、悪くはないのだが・・・
どこか面白かったといえないゲームだった。

ストーリーは悪くない。
イベントCGの少なさや全体の短さは許容範囲内だ。
ミニゲームも・・・OKにしよう。

しかしどんなに考えても「悪くない」以上の良い印象が出てこない。
大きな不満もないが、大きな充実感もない。
うーん、なんか心苦しい。

もう少しなにか見所があれば。
そう思ってしまうゲームだった。

○ついでにRipples
これも何かのチャンスと思い、短編アドベンチャーゲーム Ripplesをプレイした。
(The Flower Shopと同じライターによって書かれた作品である。)

写真を趣味とする、世の中を悲観する青年が、ある意味で刹那的な女の子と出会って変わっていくというお話。
The Flower Shop以上にこじんまりとした、なおかつ清らかな内容である。

人間は籠に詰められた小石のようなものだ。
誰か一人が世界を変えることなどあり得ない。
けれども、その小石から生まれる波の広がりは・・・

ちょっと胸が痛くなった。


○外部リンク
Winterwolves
Sake Visual
vNovel Interactive

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