宇宙ストラテジーの金字塔 Master of Orion IIの感想

新しい宇宙ストラテジーが発売される度、それはあるタイトルと比較される。
Master of Orion、特にそのIIと。

moo2 title

Master of Orionは、93年に発売された宇宙4Xストラテジーゲームだ。
そしてそれから数年後、間にMaster of Magicを挟んで発売されたのが、今回書くMaster of Orion IIである。
プレイヤーは様々な種族から一つを選び、あらゆる手段を駆使して種族を発展させなくてはならない・・・

ちなみに今回の内容はMOO2のみとし、MOO1との比較はしないことにした。
ご容赦を!

○種族

このゲームには13の種族が登場する。(カスタム種族を除く)
ユニットや技術は共通しているものの、その違いは異常なまでに大きい。

moo2 race portrait

Elerianという超能力を持った種族は、テレパスで他種族の戦略行動を監視できる上に、敵惑星を即座に併合できる。
しかし研究の進捗が遅く、常に拡張しなければ行き詰ってしまう。

ケイ素生命Silicoidは、食料無しに繁殖し、公害の影響を物ともしないため、あらゆる環境で発展できる存在だ。
代わりに炭素系生命を嫌悪しており、他の種族とは宣戦と停戦以外の外交ができない・・・

極端すぎてゲームが狂っているのではと疑うほどだが、
実際は、利点と欠点がうまく釣り合っており、バランスはなかなか良いものになっている。

当然ながら、適する戦略も異なる。
ひたすら生殖することすら、ある種族にとっては上策だったりする。
たとえ一度ゲームに勝利しても、他の種族を選べば、まるで違ったゲームが始まる。

○大銀河の探索

moo2 galactic map

銀河図に散らばる赤や橙の粒が、このゲームの土地となる恒星系である。

一つの恒星系は0~5個の惑星を要しており、そのそれぞれには、面積、鉱物量、重力、そして海洋、湿地などの環境が設定されている。
その組み合わせは数え切れないほど多い。

環境の多様さは、内政や戦略に関わるだけでなく、不思議に満ちた宇宙の雰囲気を作り出している。
ゲームを始める度、プレイヤーはどんな星が見つかるかを期待するはずだ。

○帝国の内政

一言で表すとCivilization系である。
惑星を植民し、農業、工業、研究に国民を割り当てたり、建てる施設を決定することで世界を発展させていく。

これそのものは難しくない。
資源は国民から産出されるクレジット以外にはなく、MOO1にあった内政スライダーのようなものもない。
ちょっと難しいのは、宇宙らしく余った食料を他の星に輸出できることくらいだろうか。

master of orion a planet management

しかし、建てられる施設の種類は非常に多く、その大半は惑星の素質と組みあわせることでより効果的となる。
土地に合わせた施設を建てていくのは有効であり、何より面白い。

この環境の豊富さは空想好きの人間にとって、ゲームの選択に留まらない空想の材料にもなる。
毒の大気の星に労働者を送り込む時、テラフォーマーで砂漠が消える様を見る時、
プレイヤーはパラメーター以上の、小さな物語を思うはずだ。

ただ、クリックを主体とした操作が主なため、操作量はかなり多い。
特に終盤の惑星内政は、ずらりと並んだ施設の中から作りたいものをちまちまと選ばなくてはならないため大変である。

○人物の雇用

ゲーム中、様々な特技を持った人物が、プレイヤーに雇用を申し出てくることがある。
研究者、指導者、外交官、艦長などなど・・・
彼らは賃金を要求する代わりに、指定した恒星やユニットを強化してくれる。

moo2 captain

彼らは領土やユニットを強化するボーナスのようなものだ。
ただ、その出現はプレイヤーが関与できない要素である。
優れた人物を雇用できた時の喜びは大きいが、運に振り回されて理不尽に思うこともあるかもしれない。

○デザイン!これがバトルシップだ!

タクティカルバトルオプションを有効にしてゲームを始めた場合、戦闘ユニットは自分で設計しなくてはならない。
これは艦のクラスを決め、そこに様々な装備を搭載していくというものだ。

装備は空きスペースが尽きるまで好きなだけ詰める。
電力やスロットといった制限はない。

ただ、登場する装備は、癖が強いものばかり。
ダメージを与えるだけでなく、艦の戦闘員を殺傷し、乗っ取りを成功させやすくする中性子ビーム。
時間を歪めることで、通常の二倍行動できるようになるタイムワープファシリティ。

更に、改造を施すことにより、個々の兵器に特別な性質を持たせることができる。
精度を犠牲にしてビーム砲を大型化することで、威力を数倍に高めたり、
動力探知システムを付け、ミサイルがエンジンに必ず命中するようにしたり。

moo2 design

どういった装備がいいかは、状況と運用次第。
組み合わせを考えるのは、非常に楽しい。

戦略ゲームにおける設計要素は、想像力を掻き立ててくれる。
しかしそれは、一部のユーザーにとってはハードルにもなりかねない。
本筋のゲームの前に設計ゲームが待ち受けているという、二重の砦になるわけだ。

一方で、本作の設計はかなり簡略化されている。
かといって単純ではない。
武器の選び方、編成のバランス・・・遊べば遊ぶほど、その答えの難しさが分かるようになっているのだ。

これは幅広いユーザーが楽しめる、理想的な具合ではないかと思う。

○華々しき宇宙戦

恒星系で敵艦隊と接触すると戦闘となる。
これはターン制であり、四角形のマスで構成された別画面で行われる。
(タクティカルバトルオプションを無効にすると、戦闘は自動処理される)

プレイヤーは各ユニットに移動や攻撃の指示を与えなくてはならない。
(AI委任も有り)
さあ、作ったものをどう動かすか。

戦闘に絡む要素はかなり多い。

その中でも面白いのは、艦艇のエネルギーシールドの耐久力が、方向別に設定されているということである。
前面シールドを集中砲火で落とし、隙間に砲火を撃ち込む・・・そんな戦い方も可能であり、有用なのだ。

また、ミサイルや魚雷系の弾頭は、目標にすぐ当たるのではなく、ターンごとに弾頭が接近していくようになっている。
そして飛来中のミサイル・魚雷は、レーザーやビームで迎撃できる。

moo2 battle!

このゲームのミサイルの威力は反則級だ。
それだけに、次のターンで味方に着弾する弾を見たときの緊迫はとてつもない。
逃げるか、撃ち落すか、それとも発射艦を倒すか。

古いグラフィックとターン制の戦闘にも関わらず、
むしろそうであるからこそ生まれる臨場感がある。

ちなみに本作はユニットの大量保持が難しい。
技術などによって決まるCPという数値以上に艦艇を保持すると、膨大な維持費がかかってしまうのだ。
そのおかげで、極端な数勝負になることはあまりなく、終盤まで戦術が役立つ。

○歩兵戦は自動

惑星攻めには二つの選択肢がある。
対惑星兵器で都市や住民ごと燃やすか、輸送艇から歩兵を降下させて制圧するかである。
後者の場合は白兵戦となる。

降下戦は自動で進行する。
数が多かったり、歩兵装備の技術が良かったりする方が勝つ。

また戦闘中に特定の装備を用いて、敵艦の奪取を試みる際にも歩兵戦が発生する。
重要なのは、奪った敵艦を解体すると、それに用いられた技術を入手できるということだ。
どんなに新鋭艦も運用を誤ればあっさり鹵獲される。これもまた、艦隊戦を油断できないものとしている。

○外交は普通

条約、恐喝、技術交換、停戦・・・定番のコマンドは揃っている。
特に変わったところはないが、AIは賢い。

ちなみに、外交とは若干違うが、
このゲームには、「同化した敵種族の国民は元の種族のボーナスを保持する」という仕組みがある。

例えば人間種族でプレイしている際、食糧生産にボーナスがある昆虫種族を侵略し、国民を同化したとする。
するとその昆虫の国民は、人間種族のプレイヤーの元でも、普通以上の食料を生み出すのだ。

研究のために高度な種族の住民を奴隷にしたり、
重力に耐性がある種族を高重力惑星の開拓に送り込んだり・・・これは戦争の動機にもなるのだ。

○どれを研究するか

基本はごく一般的である。
物理、コンピューター、社会など、8つの分野の元に技術があり、毎回そこから研究するものを指定していく。

moo2 technologies

ただ、大きな特徴がひとつ。
9割の技術は、一つを取ると他のいくつかが研究できなくなってしまうという性質を持っているのだ。
簡単な例を挙げると、「全自動工場」「ヘビーアーマー」「惑星ミサイル基地」の中から取れるのは一つだけ・・・というような感じだ。

良い惑星に恵まれた場合、プレイヤーは内政系の技術が欲しくなるだろう。
しかしそればかりを選んでしまうと、工業力はあるのに装甲がない、研究所はあるのにビームがないという危機に陥ってしまう。
あとから手に入れることはできないのだ。

選ばなかった技術は、他の種族と交換、あるいは奪うことで手に入れることができる。
だが、気をつけなくてはならない。
技術を一つ渡すということは、敵が諦めた可能性を一つくれてやることを意味するからだ。
武器を捨てた敵にそれを与えたらどうなるかは、火を見るより明らかである。

これらの要素により、研究は極めて複雑なものになっている。
どれを取って、どれを捨てるか、そしてどれを貰う(奪う)かという、先を見通す思考が求められるのだ。

○諜報は地味だが効く

惑星で生産したスパイを他種族に送り込むと、技術の奪取や破壊工作などを勝手に行ってくれる。

これもかなり簡略化された要素で、操作に掛かる手数もかなり少ない。
捨てた技術を手に入れられる手段でもあり、存在感は高い。

○一部のUIに難有り

今の基準で見ても、戦略画面のUIはそう悪くない。
情報が明確に表示されており、管理はやりやすい。

また、右クリックすれば、あらゆる項目に関するヘルプを表示できるため、
マニュアルを熟読せずともゲームを遊べるようになっているのは親切だ。

ただ、戦闘はひどく操作しづらい。
武器の発砲許可やユニットの選択など、これもまた対象物が小さいのである。
ミサイルや小型艦が入り乱れると、1ターンを終えるのも一苦労である。
操作するユニットの数が多くないため、致命的な問題にはなっていないのが幸いだ。

○ストーリーと勝利条件

遠い昔、銀河に二つの文明があった。
ひとつはオリオン、もうひとつはアンタレス。
両者の対立は、やがて生き残りをかけた大戦へと発展した。

銀河のすべてを巻き込んだ末に勝利したオリオンは、アンタレス人を平行宇宙へと追放した。
だが、それから程無くして、オリオンもまた世界から姿を消したのだった。

それから幾千年後の今・・・
銀河では、オリオンの系譜を継ぐ13の種族が勢力を競っていた。

以上が本作の舞台設定である。

さて、プレイヤーはゲームに勝利するために、次のいずれかの条件を満たさなくてはならない。
A.銀河の大半を征服する。
B.たまに開かれる評議会で銀河文明の代表に選ばれる。
C. アンタランの撃破

重要なのは3つ目だ。
これこそがこのゲーム最大の魅力といっても過言ではないと思う。

moo2 antares

ゲームがある程度進むと、古代文明の宿敵であるアンタランの艦隊が現れ、全プレイヤーを攻撃し始める。
並の文明では歯が立たないほどアンタランの艦隊は強い。
しかし、耐えしのぎ、高度な技術を得ることができれば、徐々にまともな勝負ができるようになっていく。

条件を満たしたプレイヤーは、アンタランの本拠地への総攻撃を行えるようになる。
ここで勝利することができれば、即座にゲームの勝者となるのだ。

シナリオがない多くのストラテジーにおいて、世界の設定はあくまで設定であり、
その進展が大きく関わることはなければ、その結末が示されることもない。

しかし本作には最後の敵と決戦の場が存在している。
アンタランを打ち倒したとき、プレイヤーはMaster of Orion IIの1ゲームだけでなく、その物語の完結を意識するだろう。
きちんとした終わりは、ゲームの雰囲気を纏め上げ、更にはゲームの終わりに名残を与えているのだ。

○結局どうだったのか

私がこのゲームに持つ感情は複雑だった。
何故かって?新作のフォーラムにこんなスレッドが立つもんだから!
「MOO2より面白い?」「MOO2と何処が違う?」「MOO2に比べて・・・」

いや、これらの意見が悪いってことじゃない。(比較は評価の基本だ。)
ただMOO2に触れたことがない私には、それが新しいものにケチを付けている様に見えて、あまり愉快でなかったのだ。
言い換えれば嫉妬である。

moo2 planet founding

けれども、多くの人が評価しているということは、きっと魅力があるに違いない。
そう思って、GOGでこのゲームを手に取ったわけだ。

それで、結局どうだったのか。
すごく面白かった。
無数の要素が組み合わさって生じている重厚さ、ゲームと密接した舞台設定、予想のできないゲーム展開・・・
UIやグラフィックを除けば、新作と並べても見劣りしない内容だ。

考えてみれば、語り継がれるタイトルがあるということは素晴らしいことなのかもしれない。
それがあるからこそ、それを超えるものを求め、それを目指そうとする。
MOO2は、このジャンルがあるかぎり語り継がれるのだろう。


○外部リンク
公式サイトはないっ!
なので、ゲーム購入のきっかけとなったり、攻略中ににお世話になったウェブサイトへのリンクを掲載いたします。

BIG MOUSE
ターン制ストラテジーが好き
エヌヤマ

この場を借りて、ありがとうございますと言いたいです!

実はもうひとつ、しのぐ亭というウェブサイトがあったのですが・・・先日アクセスできなくなってしまいました。
その面白そうな紹介と分かりやすいデータは、私がMOO2を選ぶ最後の決め手となりました。
(追記:現在はささきしのぐ氏のブログ内にコンテンツがあります。

あと宇宙ストラテジースレッドも!

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2コメント

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  1. 旧しのぐ亭サイトオーナーのささきしのぐです。
    http://ameblo.jp/shinogu1/entry-11615463036.html
    にMoO2の情報をリニューアルオープンしました。
    よろしければ見てみてください。

  2. おお、リニューアルおめでとうございます!
    そして、教えてくれてありがとうございます。
    しかし芸能活動とは、お、驚きました。

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